【OCR】いまRPAでAI-OCRはどの程度使われるか
OCRとは、紙やファイルから手書き文字あるいは活字をデジタルデータとして読み取る機能です。
RPAは、デジタルデータをインプットデータとして用いることとなるため、紙のデータは必ずデジタルデータに変換する必要があります。
【OCRのメリット・デメリット】
言うまでもなく、OCRのメリットは、膨大な紙の業務をRPAで自動化できる唯一の手段であることです。
しかし、OCRにはデメリットがあります。
精度が100%でないため、精度が低いことを前提とした運用が必要になる点です。
その運用とは、例えば、人が目検で読み取り結果のチェック&修正を行うパターンと、
そもそもきちんと読み取れていなくとも目をつむり、その後の工程で何かしら手当てすることとするパターンがあります。
どちらの場合もRPAとOCRの組み合わせですんなり業務自動化といかないのが悩みの種です。
【OCRとAI-OCRの違い】
また、OCRにはただのOCRとAI-OCRが存在します。
両者の違いとして、AI-OCRは学習によって識字率(読み取り結果の正確性)が向上することが見込まれます。
また、AI-OCRの学習機能は機械学習と深層学習に大別されます。
特にRPAの現場で、請求書の処理を自動化したいという案件が多く出ますので、こちらを例に取ります。
請求書には必ず請求額の欄があります。
機械学習AI-OCRの場合、「その請求額の欄には絶対に数値が入るぞ」と人が指定することで、精度が向上していきます。
一方、深層学習AI-OCRの場合は、AI-OCR側が自律的に「ここの欄には数値がいつも来ているな」というのを学習して精度を向上させていきます。
AI-OCRを謳っている製品の中でも、それぞれの特徴を踏まえて選別していく必要があります。
【OCR・AI-OCR製品の比較】
私が知っている中でRPAと相性の良いと思われるOCRサービスをご紹介します。
◆AIRead
アライズイノベーション社が展開するAI-OCR製品です。
WinActorとの相性が良く、日本紙パルプ商事株式会社や岡谷薄板販売株式会社などの実績が豊富です。
新興のOCR製品は実績がないものが多いため、これは大きなプラス材料です。
また、非定型の帳票であっても、自動的にどのような帳票か判別、対応してくれる機能があります。
これは、AI-OCRの中でも搭載しているものとしていないものがあり、選定時の重要なファクターです。
手書き文字・活字文字ともに対応しています。
AIRead Standardと、AIRead Enterpriseの2種類があり、
Enterprise版のみキーワード指定による文字の取得が可能です。
(つまり、Enterprise版のみが非定型の帳票レイアウトに自動的に対応)
費用は、買取型と利用型で分かれており、
買取型はAIRead Standardでライセンス料金3,600,000円/サーバ+年間保守料720,000円/サーバ、
AIRead Enterpriseでライセンス料金4,800,000円/サーバ+年間保守料960,000円/サーバとなっています。
利用型はAIRead Standardで月額180,000円/サーバ、AIRead Enterpriseで月額240,000円です。
◆DX Suite
AI inside社が提供するAI-OCR製品です。
ソフトバンク、LIXIL、みずほ銀行など、実績は圧倒的です。
手書きにも対応し、UiPathなどの各RPAツールとも連携しているのが強みです。
クラウド、オンプレの双方に対応しているのも、各企業の事情に合わせられるという点で魅力的です。
費用感は、アカウント発行費用150万円など、概ね200万円~といった感じのようです。
◆Renee PDF Aide
とにかく無料でOCRを試してみたい!という方にはこちらのソフトがおすすめです。
PDFファイルをWord、Excel、PPT、Image、HTML、TXT、Epubに変換することができ、
「ファイル追加→変換設定→変換実行」のたったの3ステップでできます。
無料版には、変換枚数に制限あり、アップデートができない、サポートが受けられないといった制約がありますが、
ひとまずOCRのフリーソフトを利用してみたい方には持って来いの製品と言えるでしょう。
【OCR製品選定時の注意点】
各製品、必ず「読み取り精度99%を実現!!」などと謳っていますが、この数値を頼りに選定することは避けるべきです。
読み取り環境、検証環境がバラバラで、この数値には大した意味はないからです。
製品を選定する際におすすめするのは、実際に体験版などで帳票を読み取ってみることです。
思わぬ初期設定の煩雑さや、想定していた帳票にはそぐわない機能などあることがあります。
【RPA製品付属のOCR機能について】
例えばUiPathには、Abbyy、Microsoft、GoogleのOCR機能が標準で利用可能です。
しかし、これらの精度や機能にはあまり期待しない方が良いでしょう。
今までの案件での経験から、読み取り精度自体の低さ、指定した読み取り位置から少しでもずれると読み取れなくなる可用性の低さから「実用的でない」と結論付ける会社が多いのが実情です。
RPAでOCR機能を本格的に検討する場合、上記に示したようなRPAと相性の良いサービスから各企業の実態に合った製品を選定することをお勧めします。