四季報から見るRPA業界最新動向

RPAに関する四季報での記述が激増

筆者は投資家として活動している中で、半導体銘柄などを主力としていましたが、やはり専業としているRPAの業界動向もウォッチしています。


昨年初め頃、四季報に"RPA"の記述がある企業はわずかに数社ほどでした。

RPAが市場テーマとしても、まさに黎明期であったことが窺えます。


ところがどうでしょうか。

四季報2019年春号で"RPA"を検索すると、その数は61件にもなります。


また、四季報では「業務自動化」「ロボット」など、必ずしもRPAと記述していない銘柄もあるので、

実態としてはさらに多いRPA関連の記述があるものと思われます。


今回は、四季報2019年春号に記載のRPAに関する内容を紐解き、RPA業界の最新動向を探ります。


◆エルティーエス<6560>

エル・ティー・エス

【続 伸】RPA(業務自動化)などデジタル活用支援が企業のIT投資活発化で新規客獲得順調。既存客は業務可視化など長期支援契約へのシフト進む。アサインナビはイベント拡充で会員数着実増。フリーランス向けサービスも寄与。増員負担増こなす。【新機軸】ビッグデータ活用のIT企業信用情報提供サービスを今秋開始。FPTジャパンとの提携通じ、RPAサービス拡大。


アサインナビは筆者も利用していました。

フリーランスコンサルやエンジニアが利用可能なお仕事探しサイトです。

RPA案件は比較的充実しているサイトでした。

ただ、サイト利用自体に1案件5万円/月というマージンが取られるので利用者側の採算はかなり厳しいでしょう。


月単価が100万円を大きく超えるコンサル案件であればともかく、

月単価60~80万円程度のエンジニア案件から5万円の痛マージン感は大きいです。


案件を出しているのも中小企業が多いイメージでした。

すなわちプライム案件よりもサブコン案件が多く、単価は低くなりがちです。


◆No.1<3562>

No.1 【堅 調】20年2月期は新企画商品を増やし情報セキュリティ商品、OA商品を拡販。Web販売も注力。メンテナンス領域の拡充で保守・メンテは着実増。営業増員やRPA(業務自動化)効果が顕在化。営業増益。


OA機器販売の会社であるNo.1社は筆者も注目していた企業ですが、恐らくこの記述内容だとユーザ側ということでしょう。


◆豆蔵ホールディングス<3756>

豆蔵HLD 【着実増】買収の監視カメラが7億円上乗せ。RPA(業務自動化)など新技術OJT案件が想定超の受注。半導体装置保守の低迷補い営業増益。20年3月期は買収事業が25億円寄与。米中摩擦の半導体影響あるが、ロボット堅調。工場IoT本格化し着実増。【RPA】3年後に米ユーアイパスの資格SE500人達成しコンサル加速。半導体工場フル稼働で保守・部品交換に機会損失。

豆蔵は新興のITサービス企業です。RPAに取り組んでいることは夙に聞いており、

筆者も一度、フォスターネットという豆蔵の子会社へお話をお伺いしたことがあります。


豆蔵はUiPathのリセラーにもなっており、フォスターネットでもいくらかRPA案件は出て来たと言っていました。

しかし、この四季報の記述を見るに、トレーニング案件に注力しているように見えます。


確かに、筆者の肌感覚としても、近時のトレーニング案件の引き合いの強さは尋常ではありません。


◆NTTデータイントラマート<3850>

NTTデータIM 【微増益】柱のパッケージソフト販売はRPA(業務自動化)好調。コンサル尻上がり。増員負担こなし営業益着実増。20年3月期はRPA軸に業界別パッケージソフト販売続伸。新サービス開発費膨らむが、保守やライセンス継続販売も寄与。営業微増益。


名前の通りNTTデータ子会社です。

社名と同じシステム基盤製品の販売を主力としています。


こちらの製品はこのところ売上も良く、RPAとの連携が進んでいるという話を前から聞いていました。

NTTデータ子会社なので、WinActorとの連携のみかと思いきや、UiPathなど他の製品とも連携しているようです。

親会社よりもユーザビリティ重視のようです。


◆システムソフト<7527>

システムソフト 【黒字化】柱のシステムは業務管理用などで不動産、情報通信、生損保向け伸びる。Webマーケティングは競争激しいが金融、不動産向けにRPA(業務自動化)支援が増加。会社計画は競争激化をやや楽観視も、下期に案件が集中し営業黒字化。【新技術分野】新設子会社デジットでRPA、スマートロックなど新規事業の開発・営業に注力。技術者の採用確保を積極化。


意外ですが不動産大手アパマンの関連企業です。

筆者もシステムソフト社にはお世話になったことがありますが、やはりアパマン社そのものもRPAに取り組んでいるとのことです。

このところ、不動産業のRPA案件が頓に増えていることを見るに、ここは競争優位性があるかもしれません。


ただ、記憶に新しいアパマン社消臭スプレー爆発事件でシステムソフト社も(RPA含めて)少なからぬ影響を受けていると聞いています。


◆アズワン<7476>

【連続最高益】研究・産業機器は大企業向け集中購買やネット通販向け続伸。人件費増加こなし営業益上振れ。最高純益。20年3月期はeコマースチャネルの拡大傾向続く。既存の代理店チャネルも堅調。RPA(業務自動化)導入も寄与。連続増収増益。

製造業のアズワン社ですが、RPA導入も寄与、ということは、ユーザ側ということでしょう。

製造業へのRPA導入もいよいよ進んで来ました。筆者も何度も携わっています。


ただ、やはり金融業などに比べると業務削減効果に悩む企業もあります

やり方次第なのですが、むやみやたらにRPA導入を進めてしまうと失敗してしまいます。

経験豊富なコンサルに相談して進めるのがベストです。そんなコンサルはほとんど市場に出回っていないですけれど。


◆日本サード・パーティ<2488>

【増益転換】好採算案件が減少。が、ICT等の伸びが想定上回り、前号より減益幅縮小。20年3月期は教育で大型案件受託が寄与。ICTは堅調。AI、RPA(業務自動化)の新事業も好伸。人員増負担こなす。


浅学にしてあまり聞いたことがない会社だったのですが、RPA新事業と聞いて調べてみました。

化学分析業界向けRPAソリューションを展開しているようです。


【参考リンク】検査・分析業務向けRPA導入・運用支援

https://www.jtp.co.jp/solutions/analysis-rpa/


先ほどのシステムソフト社の不動産業界のように、

ソリューションの趨勢は分野・業界に特化していくものなのかもしれません

なお、弊社は業界を問いません。何でも来いでやっております。


◆アセンテック<3565>

アセンテック 【好 調】20年1月期は企業のセキュリティ強化や在宅勤務対応需要旺盛で仮想デスクトップ伸長。自社製品はRPA(業務自動化)対応新商品とインストール型シンクライアントの引き合い多く、保守契約も順調。採用強化の人件費増こなし連続営業増益。【自社製品】価格競争力の高い『リモートPCアレイ』品ぞろえ拡充。RPA対応モデル、大規模システム向けモデルを1月追加。


先ほどのNTTデータイントラマートもそうですが、RPAと直接関連のない自社プロダクトをRPAと連携させる例が出て来ているようですね。

そういえば、ERPパッケージとして有名なSAPやCRM大手のセールスフォースもRPAとの連携を推進しているという記事を目にします。


これもまた、世の趨勢であろうと思われます。

システムとシステムをつなぐのがRPAですが、システムが直接対応することで対応の幅が広がったり、対応しやすくなったりするので、

RPA業界としても大歓迎の流れです。


◆電算システム<3630>

【堅 調】情報サービスはグーグル中心に伸長。グーグル導入は19年12月末に1700社台へ。RPA(業務自動化)で社内業務も効率化。収納代行はスマホ支払いシステム拡大。国際送金は7万人突破、赤字縮小。


SIerのようです。

ここに書いてあるのは、自社内でのRPAの取り組みですが、他社への導入支援もしているようです。


ディップ社もそうですが、導入支援をする企業は、まず自社でやってみるのが手っ取り早いです。

やってみなければそのメリット・デメリット、コツなど全くわかりません。


電算システム社のほか、ジェクシード<3719>、AGS<3648>、ビジネス太田昭和<9658>、ニーズウェル<3992>などもRPAのSI事業をしているという記述がありました。


◆ソレキア<9867>

【RPA】セミナー開催しRPA活用の業務効率化訴求。ホテル・レストランショーに出展、客室タブレットサービス拡販図る。


SIerのようですが、セミナーを開催して顧客獲得につなげている企業は多いようです。

いま、RPAと名のつくセミナーは、どこも満員御礼が続くと聞いています。


筆者もSHIFT社やTDCソフト社のWinActorセミナーなどに参加しましたが、

いずれも大盛況でしたし、RPA関連の展示会はいずれも大賑わいです。

RPAの注目度は高まるばかりです。


◆アイピーエス<4335>

【攻 勢】RPA(業務自動化)ソリューション開発の全額出資子会社新設。SAPジャパンなどと共同で、ERPデータ入力業務をRPAで自動化する製品提供も開始。


調べたところ、Bizrobo!ソリューションを中心に展開しており、SAP×Bizrobo!のセミナーなども行っているようです。

SAP×RPAは今後も間違いない分野だと思います。ただBizrobo!に限る必然性はないでしょう。

どちらも導入するのは大企業中心だからいいのかもしれませんが……。


◆横河電機<6841>

【働き方改革】RPA(業務自動化)導入、外注、テレワークなども活用し残業時間削減。物流、調達コスト削減も積極推進。


その名の通り電機業界でしょうから、ユーザ側ということでしょう。

見出し語の「働き方改革」とあるように、2019年4月より施行させた働き方改革法により、RPA導入を目論む企業は増えていると実感します。

ここはその一例ということでしょう。


製造業ではそのほか、宇野澤組鐵工所<6396>やヒラノテクシード<6245>も取り組みの記述がありました。


◆安藤ハザマ<1719>

【結 実】施工体制充実や受注ノウハウ横展開が物流施設や工場など大型受注増に結実。RPA(業務自動化)など導入検討。


大手建設会社です。

先ほどは不動産という話もありましたが、建設・建築業もRPAに乗り出しているようです。


建設業のシステム導入に関わったことがありますが、やはり現場からの写真、工事の進捗状況、建築設計図など、

建設業が管理しなければならないデータは厖大で、そのやり取りもまた頻繁です。


建築系では、ナガワ<9663>も下記のような記述がありました。

【RPA】iPad活用の物流管理、工場へ最新鋭機導入で業務自動化推進。


この業界もまた、RPA化の余地は大きいと思われます。


◆九州リースサービス<8596>

【注力分野】比較的手薄だった医療機器の拡大に傾注。RPA(業務自動化)活用など合理化推進。21年3月期配当性向2割目標。


ユーザ側企業と思われます。

リース業界といえば、オリックス社がRPAには大変力を入れています


オリックスビジネスセンター沖縄というBPO業務を中心とした会社にRPA導入を早くから推進しています。

リース業もまたRPA化の余地のある業界なのでしょう。


◆大分銀行<8392>

【IT化】M&Aチーム増強など中小取引先の支援強化。コンサルティンググループはIT化、RPA導入支援事業に重点。ロボットアドバイザーがHP上でも稼働。


メガバンクや、保険・証券といったその他の金融業界に比べて、

地銀はRPA化が遅々として進んでいないという話を聞きます。


ただ、いくつかの地銀に直接話を聞いたこともありますが、

導入自体は進んでいるところもあれば、進めようとして頓挫しているところなど各社事情が分かれています


また、三井住友銀行がRPA支援企業を立ち上げたように、大分銀行も同様の取り組みをしているようです。


◆日新<9066>

【新 設】20年度平和島(東京・大田区)に冷蔵物流センター新設、食品物流増に対応。通関・経理業務でRPA(業務自動化)活用。


大手国際物流会社です。RPAユーザ側と思われます。


経理業務はよくRPA化対象として選定されますが、通関というのは目から鱗が落ちる思いです。

恐らく大変に無駄な手作業が発生しているものと思われます。


◆竹田印刷<7875>

【改 元】各種印刷物の改訂による若干の特需見込むが業績への影響軽微。顧客の販促物等一元管理受託を軸に収益回復図る。AI、RPA(業務自動化)を積極導入。

斜陽産業である出版・印刷業界にもRPA化は波及しています。

結局のところ、RPA化するのはバックオフィス業務だったりするので、この辺りは業界関係ないのです。


多少関係があるとすれば、B2B事業よりはB2C事業の方が導入効果が高くなりがちであるくらいでしょうか。


総論

商機は全業界に、されど導入支援企業は特化の方向性、というのが読み取れました。

また、自社プロダクトへのRPA対応が進んでいることが印象的でした。


支援領域としては開発支援が多くなって来た印象なのは、やはりPoCを経て、本格導入にフェーズが移って来た証左でしょう。

その他、研修・トレーニングサービスを展開する企業が目につきました。


RPA業界は千変万化にて、このような動向ウォッチをしていなければ置いてゆかれるでしょう。

弊社では常に最新の動向を監視していきたいと思います。


併せて読む:

RPA関連企業のRPAに対する取り組み

筆者が投資しているRPA企業などについて紹介しています。